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段ボールは、完成写真に写らない。

段ボールは、完成写真に写らない。

新しく届いた物には、だいたい箱がついてくる。
家具でも、照明でも、文房具でも。

中身を取り出した瞬間から、その箱は急に邪魔者になる。つい先ほどまで、大切な商品を守っていたというのに。

なかなか厳しい世界である。

さて、店舗の完成写真を見ると、実にすっきりしている。
テーブルの上には何もない。椅子もきれいに並んでいる。カウンターには、気の利いた小物が一つ。
自分も、こういう写真を見るのは好きだ。

ただ、営業が始まれば物は増える。
予備のグラス。洗剤。伝票。持ち帰り用の袋。いつか使うかもしれない何か。
そして、それらが入ってきた段ボール。

完成写真には登場しないが、店を開けるとなれば、なかなかの顔ぶれが集まる。

困るのは、どれも一応必要なことである。
見た目が悪いから処分しましょう、とは言いにくい。洗剤を置かずに済むなら、掃除の方をやめることになってしまう。

そこで登場するのが、「とりあえず、ここに」。

便利な言葉である。
大きな決断をせず、その場の問題を解決できる。

ただし、ここに置いた物が、いつまで「とりあえず」でいてくれるのかは分からない。
一週間もすれば、すっかりその場所になじんでいる。むしろ、最初からそこに置く予定だったような顔をしている。

そのうち隣に仲間も増える。
こうなると、移動させる方に理由が必要になる。

収納を多くつくれば解決するのかというと、それも単純ではない。
棚をつくれば、その分だけ場所を使う。奥行きを深くすれば、奥の物が取りにくい。扉をつければ隠せるが、開くための場所が要る。

見えなくなったからといって、物が消えたわけではないのである。

客席からはすっきり見える。でも、働く人は必要な物をすぐ取り出せる。
自分が考えたいのは、そういう置き場所だ。

何を、どのくらい使うのか。いつ届いて、誰がしまうのか。空になった箱は、回収の日までどこに置くのか。

格好いい店の話をしていたはずが、気づけばゴミの回収曜日の話になっている。
少々地味だが、こちらも店づくりである。

もちろん、完成写真を撮るときは、片付けたい。
段ボールもどかす。洗剤も隠す。椅子もそろえる。

ただ、撮影が終わった後、その荷物をどこへ戻すのか。
そこまで決まっていれば、少し安心できる。

ところで、段ボールには折り畳めるという、大変優れた機能がある。

問題は、畳む前の箱に「何か入れられそうだ」と思ってしまうことだ。

収納を考える仕事をしているのに、収納が一つ増えると困る。
なかなか油断がならない。

2026.10.16